私の担当医。~2~
海斗が部屋をでていった
点滴を取りに行ったんだろう。
5分ほどで戻ってきた。
「海斗ごめん。私の話聞いて。お願い」
「点滴してからな」
「...」
海斗は何も言わずに私の手をとって
血管を探し始めた。
「腕に血管がない。手の甲だな。」
本当はめちゃくちゃ嫌だ、
だけどここで抵抗したら
海斗もっと怒っちゃう
大人しく従った。
怖くて手が震えてるけど
点滴が怖いのか海斗が怖いのかわからない。
嘘ついた私が悪いんだ
目を強く閉じて海斗に手を託した
「3.2.1」
チクッ
「いたっ」
「あと固定して終わり。
よく耐えた。約束どおり話聞いてやる」
「...」
「話ないのか」
「ある...毎日点滴でもう針を刺したくなかった。だから嘘ついちゃったごめんなさい。」
「おう」
「...仕事行かせて...ほしい」
「無理」
即答されてしまった
「どうして」
「嘘ついたから」
「だからごめんって」
「許さない」
こんなに頑なに許してくれないのは初めてかもしれない
「なんで。」
「血糖値が35ってどんだけ危ないかわかるか?いつ倒れてもおかしくない。
点滴が大嫌いなすずが文句ひとつ言わずにちゃんとしてたのは本当にすごかったし偉かった。
そしてもう血管が限界なのもわかってた。
だからって嘘つくのは違うだろ」
「だって...」
「だってなに?」
「...ごめん。もう嘘つかない」
「そのセリフ何回も聞いた」
「...」
話は進まないまま点滴が終わって
日が登ってきた
今日は透析の日で
それが終わってから出勤予定だった
今日の今日で
仕事に行かせてはくれない
仕方なく休ませてもらうことにした。
どうしたら仕事許可してくれるか。
考えた
考えて考えて考えた...