私の担当医。~2~
次の日からほとんど毎日
透析をしていた。
ずっと海斗がつきっきりという日は
少なかったけど約束通り針は海斗が入れてくれた。
その分海斗といる時間が増えた
赤ちゃんの話や私の仕事の話
海斗の仕事の話
いっぱいいっぱい楽しい話をすることが
楽しみだった。
1時間、できて2時間もすれば副作用で
吐いて途中で辞めるのがほとんどだったけど
私も約束通りちゃんと毎日透析室に足を運んだ
妊娠も後期に入ったそんなある日...
私も産休に入り仕事が休みで少し買い物に出ようと思い1階に降りた。
生きがいの仕事をやらずに
ずっと毎日透析をする生活にストレスがかかっていた。
なんだか胸騒ぎがして
海斗の診察室の前を通った
今日は海斗が外来の日
部屋から楽しそうな声が聞こえた
どうしても中に誰がいるのか気になって
待合室の前のソファで座って待った。
しばらくすると海斗と一緒に
私と同じくらいの女性が出てきた。
楽しそうに2人は歩いて院内のカフェに入って行った。
はぁ。
患者さんなのはわかってるけど
私だって最近カフェにも行っていない
あーイライラするしモヤモヤする
発散するためにもすぐ買い物にでた。
近くの公園でアイスを食べて
心を落ち着かせた。
でもふとよぎるのは
若い患者さんと楽しそうに話している
海斗の姿。
私といる時よりも楽しそう
赤ちゃんいるから。
私が病気だから。
それだから無理矢理相手してくれてるのかな
一緒にいても楽しくもない私と
...プルルル
海斗からだった
「はい。」
『すず、今どこ?』
「買い物にでてる」
『そっか。今日は夕方に透析しよう。俺も早く上がれそうだし』
なんか今日はそういう気分じゃないし
頑張れそうにない
海斗にも会うのもちょっと気まずい
よく妻の妊娠中に浮気をする夫の話をよく聞く。
浮気とまではいかなくても
私のことなんか好きじゃなくなったのかな
「今日用事できちゃったんだけど」
『なんの?』
「買い物が少し長引きそうで」
『じゃあ俺が迎えにいくよ。
風邪とかひくとよくないし早めに帰って透析して夜はゆっくりしよう』
「いやいいよ、1人でいたいから」
声を聞くと昼の光景が頭に浮かんで苦しくなった
そんな無理に優しくしなくていいよ
その瞬間、なぜか背中が痛くなって
動けなくなった。
なんで...
ハァハァハァ
苦しい...
「すずちゃん!!!
すずちゃん!!!」
誰か私を呼んでいる
目を開けると救急隊の大和くんがいた
やっと目を開けた
「もう少しで病院に着くから」
「いい。」
「海斗待ってる」
海斗という名前を聞いただけで
頭がフラフラしてきた。
「嫌だ、、、嫌だ、、、」