私の担当医。~2~
◯海斗サイド◯
みるみるうちにすずの顔色が悪くなってきた。喘息発作もあるけど
腎臓の方もそろそろ限界なんだろう。
すずは夜のパレードまでいるつもりだろうけど厳しい。
観覧車の中で2人きりゆっくり話せる環境を作って帰ることを伝えよう。
「観覧車でも乗るか?」
「うん、いいよ」
国内でも有名な観覧車。
1周15分
「次の方どうぞ〜」
「すずの好きな緑だな」
「うん、今日はついてる。」
楽しそうに笑っているけど
身体は悲鳴をあげている
「そんなついてるすずちゃんに
残念なお知らせがあります」
「嫌です。」
きっと本人も気づいてるし
「もうドクターストップ。病院に戻ろう」
「だから嫌だ。まだパレードみてない。」
「またくればいいだろ。
楽しみは次に取っておこう」
「...嫌だ」
泣き出してしまった。
シャントいれる手術の頑張ったご褒美デート。
俺の休みがなかなか取れなくて
だいぶ待たせた。
その間、ずっと楽しみにしてたのを知っている。
なるべくすずの要望を叶えてあげたい。
そう思っていたけど
顔色が悪いし呼吸も荒い。
喘鳴も聞こえる。
きっと背中も痛みはじめている
「すず、こっち向いて」
「...嫌だ」
始まった。
すずのイヤイヤ
「すず。さっきの俺との約束は?」
「...知らない」
「俺にキレられたい?」
「...」
泣いてるすずにそんなこと言いたくないけど
仕方ない。
イヤイヤすずはきつめに言わないと
言うことを聞かない
「透析してコントロールがしっかりできるようになったら1日平気で遊べるようになるから。今は帰ろう」
「...」
「すず。」
「絶対透析しない。」