私の担当医。~2~

今まで信用してきた海斗に裏切られた
嘘つかれたことが悲しくて
涙が止まらなかった。

病院からタクシーを拾って
海斗のマンションにきた。
鍵は少し前に持たせてもらっていた。


なんだかここの景色を見たい

何も考えたくなくて
ぼーっとしてたら夕方になった。

やっぱりここの夕日は綺麗だ。

...プルルル

海斗から電話

病院にいないことは誰も知られてないはず。
きっと普通の電話。
出ないと逆に怪しまれる

「はい」

『すず、大丈夫?
今何してるの?』

何してるのって
海斗こそ今何してるの。
女の先生と一緒にいるんでしょ
さぞかし楽しいことでしょうね

「んーん特になにも」

学会っていうのも嘘なんじゃないの?

私も嘘ついても別にいいよね


『ちゃんと飯食って明日、透析いけよ。
また明日の朝、電話するから』

「うん」

行くわけない
なんで海斗の言うこと聞かないと行けないの
意味わからない

「じゃあまた明日」

そう言って電話が切れた。
病院にいないことはバレてない

そのままここで過ごそう。

お腹が空かず夜ご飯も食べずに
マンションで1人きりの一夜を過ごした。


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