その首輪はお断りします!【マンガシナリオ】
瑠叶「えっと、──君名前なんだっけ」
翼(知らない人から卵焼き貰ったの!?)
驚きながらも翼は答える。
翼「私は夏目翼。……蓮水君、だよね?」
翼(さっきはわからなかったけど、そのふわふわの髪と午前の授業のアレで思い出した)
〇回想〇
午前の授業中、教卓に手をついた担任教師の富田。
富田:短髪の細身の体型、30代の男性。一年一組、担任教師。
富田『おーい、蓮水起きろー』
瑠叶『ぐー……』
富田『爆睡か』
クスクスと笑い声が教室を包む。
翼もチラリと後ろを振り向き、瑠叶の寝顔を見て『よ、よだれが垂れててもイケメン。でも、綾人君とは系統が違うイケメンだ』と思った。
〇回想終了〇
瑠叶「僕の名前知ってるの?」
瑠叶は「わー、びっくり」と言うが、その顔は驚いているようには見えない。
翼(起きてるところを初めて見たかも。なんだか蓮水君って、まとってる雰囲気が独特?)
翼「私の席、蓮水君の前だよ」
んー? と首を傾げ、翼を凝視する瑠叶。
瑠叶「夏目さん、ちょっと後ろ向いてみて」
翼「? いいよ」
そう言われて後ろを向く翼。
〇瑠叶の脳内にて〇
授業中。
寝ていて、ふと起きた瑠叶は前を見た。
翼が問題が分からず「うーん?」と、悩んで首を傾げるとボブヘアーが揺れた。
それを後ろから見ていた瑠叶には、犬が「くぅーん?」と首を傾げたように見えていた。
〇終了〇
「あぁ」と納得した瑠叶。
瑠叶「ふわふわしてて、ワンちゃんみたいな人だ」
翼「ワンちゃん……」
ガーン、とショックを受ける翼。
翼(そんなぁっ。綾人君以外にも、犬だと思われてるの私?)
瑠叶「僕さ、ほとんど寝てるから、クラスメイトの顔覚えてないんだよね」
瑠叶「気づいたら授業が始まってて、気づいたら終わってる」
なんでだろうね? と無表情で言う瑠叶。
翼「それは寝てるからじゃ……?」
瑠叶はそんな翼の言葉を聞いておらず、お弁当のハンバーグを凝視している。
瑠叶「……」
翼「……」
翼「…………ハンバーグ食べる?」
あまりの曇りなきまなこに負けた翼は、スッと弁当箱を差し出す。
瑠叶「いいの? やったぁ」
瑠叶はケチャップがついた、ひとくちハンバーグをひょいっと掴み、もぐもぐと頬張る。
翼(さらば私のハンバーグッ)
瑠叶の口の端に、ケチャップがついている事に気づいた翼。
翼「蓮水君、ケチャップが口についてるよ」
瑠叶「え、どこ」
翼「あ、待って」
制服の袖で拭こうとした瑠叶をとめ、ポケットからティッシュを取り出す翼。
翼「じっとしててね」
ティッシュで瑠叶の口元を拭こうとした時。