その首輪はお断りします!【マンガシナリオ】
〇ダイニングテーブル。夕方 

 晩御飯の時間になり、テーブルには翼と綾人、そして瑠叶と詩音が座わっている。
 テーブルの上には、カレーライスが盛られたお皿や、サラダが入った小さなボウルなどが人数分置かれていた。

翼「さ、どうぞ! 多めに作ったから、いっぱい食べてね」
瑠叶「カレーだ。僕、カレー好きなんだよね」
詩音「お子ちゃまね」
瑠叶「お子ちゃまでもいいしー」

 詩音にからかわれて、ぷくーと頬を膨らませた後、大口でカレーを頬張る瑠叶。
 そんな二人のやりとりを見て、苦笑いを浮かべつつカレーを食べる翼。

翼(美味しい。我ながら上手く作れたかも)

 もぐもぐと食べ進める翼。

綾人「翼ちゃん」
翼「え? ──んぐ」
綾人「ふふっ、ついてるよ」

 ティッシュで、翼の口の端についたカレーを拭き取る綾人。
 少し顔を赤く染め、お礼を言う翼。

翼「……あり、がと」
綾人「どういたしまして」

 綾人はふふっと微笑み前を向くと、ぴしりと固まった。

瑠叶「綾人君、僕もふいて」

 瑠叶が口の端にカレーをつけ(翼よりついている)て、ん、と綾人に顔を突き出している。

綾人「俺に弟はいない。まったく、自分でふけばいいだろう?」
瑠叶「ケチー」
翼「綾人君、意地悪しないの! はい、瑠叶君」

 かわりに翼がティッシュで、瑠叶の口元を拭いた。

瑠叶「ありがとう、つーちゃん」
翼「ふふっ、いいよ」
綾人(なんで俺が、怒られなきゃいけないんだ)

 和やかな二人のやりとりに、綾人は腹立たしげにカレーを口に含んだ。


 夕飯が終わり、誰からお風呂に入るかを決めた結果、詩音が先に入ることになった。
 お風呂から上がった詩音が、リビングに帰ってくる。それに合わせて、キッチンから出てきた翼。

翼「はい、詩音ちゃん。お風呂上がりの一杯」
詩音「ありがとう翼」

 ダイニングテーブルに座り、翼から牛乳が注がれたコップを受ける詩音。
 ダイニングテーブルには綾人も座っている。翼は、綾人の隣に座った。

綾人「次、翼ちゃんが入りなよ。蓮水君は寝てるみたいだし」

 三人の視線が、テレビ正面のソファーで「すぴー」寝ている瑠叶へと向けられる。

翼「そうだね、入ってこようかな」
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