その首輪はお断りします!【マンガシナリオ】
〇綾人の部屋。夜
 
 ベッドには綾人が、床には予備の布団を敷いて寝ている瑠叶。
 瑠叶はぐっすりと寝ている。

〇翼の部屋。

 床に布団を敷き寝ている詩音。
 ベッドに寝ていた翼は、むくりと起き上がった。
 ベッド脇の時計を見ると朝の四時半で、外は日の出前なのか少しだけ明るい。

翼(うーん、水でも飲んでこようかな)

 翼は詩音を起こさないように、ゆっくりと部屋を出た。


〇リビング

 コップに水を注ぎ喉を潤した翼は、テレビから向かって右側、ダイニングテーブルを背にしたソファーに座った。
 日が昇ったのか、カーテンはうっすらと光を通している。

 何をするわけでもなく、うつらううらとしながらボーっ座っていた翼。

綾人「──なにしてるの」

 突如、鼓膜を揺らす艶っぽい声。
 翼はビクゥゥゥと肩が跳ねた。

翼「ひゃあぁぁ!?」

 ドッドッとなる胸を押さえた翼は、後ろを振り向く。

 後ろには綾人が「しー、声が大きいよ翼ちゃん」と口元に人差し指を当て、ニヤリと悪い笑顔を浮かべながら立っていた。
 綾人は移動して、翼の隣に座り足を組む。
 隣にきた綾人を翼は警戒した。

綾人「翼ちゃんも眠れないの?」
翼「『も』ってことは、綾人くんはそうなの?」
綾人「まぁね。蓮水君の寝言がうるさいんだ」

 綾人の頭に浮かぶ瑠叶の姿。
 掛け布団をぎゅっと抱き枕にして、
瑠叶「もう食べれない〜……、卵焼きが、空飛んでる……」
 と寝言を言っている。

綾人「翼ちゃんは? 若倉も寝言うるさいとか?」
翼「ううん、むしろ静かだよ。たまたま目が覚めたら、のどかわいちゃって」

 自分が聞いたのにら興味なさげに「そう」と綾人が一言発した後、しばらく二人の間には無言が続く。気まづそうな顔の翼。

 次に言葉を発した人物は、変な空気を作り出した張本人である綾人だった。
 綾人は、すんっとした表情で何を考えているかわからない。

綾人「──翼ちゃんも策士だね。若倉と蓮水君を呼ぶなんて」
翼「そ、それは……!」

 いつ問い詰められるかと、身構えていた事だが「まさか今言われるとは」と目が泳ぐ翼。

 翼がなんて言おうっ、とグルグル考えていた次の瞬間。
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