その首輪はお断りします!【マンガシナリオ】
第6話 その行動の真意は
○夏目家リビング
少し時間は遡り、詩音が入って来た瞬間。
翼は何も見えていないが、誰かがリビングに来たことはわかった。
そのため体を起こそうとした綾人が、ソファーの背より顔を上げてしまうと、その「誰か」に見えてしまう。
とっさに綾人の頭をガッと掴み、胸元へ引き寄せる。
勢い余って、胸を押し付ける形になってしまったが。
翼(──これじゃ私、変態みたいじゃない!?)
ぱっと綾人の頭から手を離した翼。
だが、綾人は一向に動かない。
……屍のようだ。
翼「あ、綾人君……?」
え、死んだ? 圧死? と不安になった翼が呼びかける。
むくりと顔を上げた綾人の顔に、表情はない。
翼(え、何その顔。仮にも女子の胸に顔を埋めた人の顔ですか!?)
若干カチーンと来た翼。
そんな翼を気にもとめず、綾人は立ち上がり「おやすみ翼ちゃん」と短く言い、翼が「え? お、おやすみっ」と言い終わる前にリビングをあとにした。
「……?」と首を傾げた翼だった。
〇場面は切り替わり
綾人はと言うと、二階への階段を登っている途中で足を止めていた。
きゅっと眉を寄せ、口元を片手で覆っている。その頬はわずかに朱がさしていた。
綾人(…………)