その首輪はお断りします!【マンガシナリオ】
〇学校 体育館前
 学校のグランドが、駐車スペースとして開放されている。車で来ていた翼達は、そこに車を止めた。

香織「じゃあ先に行ってるわね〜」

 翼達に手を振って、体育館前の保護者受付に行く香織。翼も手を振りかえして綾人と一緒に、クラス分け表が張り出されている体育館の掲示板前に行く。

 掲示板前は人だかりが出来ていた。
 綾人に気づいた女子生徒達が、色めき立つ。

女子生徒1「見てみて! あの子めっちゃイケメンじゃない?」
女子生徒2「本当だ。私、あのイケメンくんと同じクラスがいいなぁ。なんて名前なんだろ?」

 そんな女子生徒達の声が聞こえて、ビクッとなる翼。

翼(恐るべしイケメンパワー!)
翼(もし綾人君の妹だってバレたら、色々と面倒なことになりそう……!)
 
 翼の頭には、さまざまな光景が浮かんだ。

翼(──例えば、告白とか)

〇翼の脳内妄想その1。校舎裏

女子生徒1「これ、綾人君に渡して欲しいの!」

 ずいっと差し出される手紙。
 それを見て翼は、頬をかきながら愛想笑いを浮かべる。

翼「え、えっと、本人に直接渡した方がいいんじゃ……?」
女子生徒1「……なに、渡してくれないの?」

 豹変する女子。
 ぷるり、と体を震わせる翼。

〇脳内妄想その1終了〇

翼(あとは、好きなタイプを聞かれたりとかして……)

〇翼の脳内妄想その2。女子トイレにて

 ざっ、と複数の女子生徒に囲まれる翼。
 あまりの圧に翼はぎょっとする。
 その中のリーダーっぽい、ロングヘアーの女子が喋る。

女子生徒1「ねぇ、綾人君の好きなタイプってどんな人なの!」
翼「え?」
 
 他の女子達も「そうそう!」と頷いて、翼を見つめてくる。女子生徒達の後ろには、メラメラと赤いオーラがすごい。

翼「わ、私、綾人君の好みはちょっと知らな──」
女子生徒1「妹なんだがら、なにか一つくらい、知ってるんじゃないの」
翼(本当に知らないんです〜!!)

 女子達にすごまれた翼は、縮こまる。

〇翼の脳内妄想その2終了〇

翼(お、恐ろしいっ!!)
(……同じクラスだと綾人君、私に絶対絡んでくるよね? その度に女子の嫉妬が……!?)

 あわわ、と顔色の悪い翼。
 それを見た隣にいる綾人は、片眉を上げ「どうかした? 翼ちゃん」と問いかける。

翼「なんでもないっ!」
綾人「そう? 顔色悪いけど」
翼(それはあなたのせいだよ!)

翼(くっ、せめて違うクラスになりたい!!)
(私の平穏な高校生活のために、綾人君と同じクラスじゃありませんようにっ!!)

 目に力を込めてクラス分け表を見る翼。周りの生徒が、ちょっと引いている。
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