S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
プロローグ
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 好きな男性のタイプは穏やかで紳士的な人。大嫌いなのは……偉そうな俺さまタイプ。
 大きなベッドに私を組み敷いた彼が言う。

「で、どんなふうに抱かれたい? 可能なかぎり、ご要望に応じてやるよ。――奥さん」

 その声は重みがあって、身体の奥深くに響く。
 はらりと流れる漆黒の髪、男らしく少し焼けた肌、日本人離れした彫りの深い顔立ち。カーテンの隙間から差し込む西日に照らされた、引き締まった肉体。

(黒豹みたい……)

 スッとこちらに向けられた眼差しなど、まさに獲物を狩ろうとする猛獣のそれだ。

 円城寺(えんじょうじ)柾樹(まさき)、二十八歳。外科医師。今はまだ現役でメスを握るが、将来的には世界に羽を広げる医療財閥、円城寺グループの総帥となる男。
 地位、名誉、医師としての才能、そして圧倒的なまでの美貌。すべてを兼ね備えた彼は、今日、和葉(かずは)の夫となった。

「ほら。いいかげんに覚悟を決めろ」

 意地悪な笑みを浮かべて、柾樹は膝を進める。ふかふかのマットレスが彼の動きに応じて沈んだ。
 あらがえないことは承知のうえで、和葉はフイと顔を背ける。

「――ど、どんなふうにも抱かれたくはないです」
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