S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 そう確信して、和葉はそのことも柾樹に尋ねた。帰ってこなかった誕生日の翌朝、ちらりとメッセージを見てしまったこと。

「仕事を優先されたことに怒っていたわけではないんです。本当は女性と一緒だったのかなと不安になってしまって……」
「ゆみ? 誰だ、それ」

 けげんそうに、柾樹は思いきり眉をひそめた。シラを切っているようには見えない。

「誕生日の翌朝のメッセージか」

 柾樹は自分のスマホを操作する。メッセージを確認しようとしているのだろう。彼の指先の動きがぴたりと止まったかと思うと、柾樹はぷっと噴き出すように笑った。

「ひろみ」
「え?」
三浦(みうら)裕実(ひろみ)。俺が指導している研修医で、柔道歴二十年の屈強な男だ」
「えぇ、研修医さん? しかも男性?」

 メッセージの送り主が病院関係者である可能性は、すっぽりと頭から抜け落ちていた。

(じゃあ、仕事って言ったのは嘘じゃなかったんだ。それに、一緒にいたのは男の人……)

 勝手に、妖艶な美女で想像を巡らせていた和葉はぽかんとしてしまった。柾樹は笑いをこらえながら、続ける。

「たしかに。あの巨体を忘れて女性からのメッセージだと思うと、意味ありげに読めなくもないな」
「めちゃくちゃ意味深なメッセージとしか思えなかったです」
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