S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
和香子が急に仕事をやめて、和葉たちはこの屋敷を出ていくことになったのだ。柾樹の母、寧々もとても残念がって引き止めたが、和香子の意思は固いようだった。
「……和葉のこと忘れないでね、まーくん。和葉も絶対に忘れないから」
和葉は健気に笑顔を作ろうとする。
つないだ手に柾樹はギュッと力を込めた。それから、深呼吸をひとつして言った。
「和葉、俺と結婚して。誰よりもかっこよくて、誰よりもすごい男になって、和葉を迎えに行く」
和葉は丸い目をさらにまん丸くして驚いている。
「ダメか?」
柾樹が聞くと、勢いよくブンブンと首を左右に振った。
「ううん。和葉はまーくんのお嫁さんになる」
「うん。じゃあこれは約束の証な」
柾樹はそっと、和葉の頬に唇を寄せた。
和香子は退職の理由を寧々に『やってみたい仕事が見つかったからだ』と話していたらしい。
「前向きな理由だもの。しつこく引き止めるわけにはいかないわよね。落ち着いたら連絡してと伝えたから、和葉ちゃんともまた会えるわよ」
柾樹にとってはその言葉が支えだった、けれど、ふたりが去って半年ほどした頃、寧々が円城寺系列の病院で働く知人から、和香子のその後を聞いてしまった。
「三鷹にうちの系列の病院があるでしょう。そこの院長がね――」
「……和葉のこと忘れないでね、まーくん。和葉も絶対に忘れないから」
和葉は健気に笑顔を作ろうとする。
つないだ手に柾樹はギュッと力を込めた。それから、深呼吸をひとつして言った。
「和葉、俺と結婚して。誰よりもかっこよくて、誰よりもすごい男になって、和葉を迎えに行く」
和葉は丸い目をさらにまん丸くして驚いている。
「ダメか?」
柾樹が聞くと、勢いよくブンブンと首を左右に振った。
「ううん。和葉はまーくんのお嫁さんになる」
「うん。じゃあこれは約束の証な」
柾樹はそっと、和葉の頬に唇を寄せた。
和香子は退職の理由を寧々に『やってみたい仕事が見つかったからだ』と話していたらしい。
「前向きな理由だもの。しつこく引き止めるわけにはいかないわよね。落ち着いたら連絡してと伝えたから、和葉ちゃんともまた会えるわよ」
柾樹にとってはその言葉が支えだった、けれど、ふたりが去って半年ほどした頃、寧々が円城寺系列の病院で働く知人から、和香子のその後を聞いてしまった。
「三鷹にうちの系列の病院があるでしょう。そこの院長がね――」