S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
身も蓋もない言い方をすれば、円城寺家にとっては都合のいい話だった。悪い評判を聞かない旧家で、事業も堅実。円城寺は結婚相手の助力など不要だから、相手にあれこれ要望する気はない。だが、財界での評判がいいにこしたことはないだろう。
(そんなの関係ない。そう言い張るほどの熱意を持てそうな女もいないしな……)
和葉を吹っ切るべきか、そう思ったタイミングで降って湧いた縁談話。
(これも運命かな)
縁談を受け入れるのも悪くないかもしれない。やっとそんなふうに考えられるようになったのに、ハトコから提案された見合いの場に柾樹は愕然とした。
「神田の芙蓉?」
「そう。沙月さんのお気に入りらしくてな、地味でこじんまりとした店だが、味は抜群らしい。常連客はちょっと驚くような顔ぶれだぞ」
芙蓉の評判は聞いたことがあった。知人から『一緒にどうか?』と誘われたこともあるが、上手にかわしていたのだ。そこが、和葉を引き取った育郎の店だと知っていたから。
(よりよって、芙蓉で見合いか……)
適当な理由をつけて違う店にすることもできたはずだが、あえてしなかった。和葉が今も育郎と暮らしているのかはわからないが、もし彼女に会えたら自分の気持ちもはっきりわかるのではないかと考えたのだ。
(縁談を進めるか、ストップすべきか、そこで決めよう)
(そんなの関係ない。そう言い張るほどの熱意を持てそうな女もいないしな……)
和葉を吹っ切るべきか、そう思ったタイミングで降って湧いた縁談話。
(これも運命かな)
縁談を受け入れるのも悪くないかもしれない。やっとそんなふうに考えられるようになったのに、ハトコから提案された見合いの場に柾樹は愕然とした。
「神田の芙蓉?」
「そう。沙月さんのお気に入りらしくてな、地味でこじんまりとした店だが、味は抜群らしい。常連客はちょっと驚くような顔ぶれだぞ」
芙蓉の評判は聞いたことがあった。知人から『一緒にどうか?』と誘われたこともあるが、上手にかわしていたのだ。そこが、和葉を引き取った育郎の店だと知っていたから。
(よりよって、芙蓉で見合いか……)
適当な理由をつけて違う店にすることもできたはずだが、あえてしなかった。和葉が今も育郎と暮らしているのかはわからないが、もし彼女に会えたら自分の気持ちもはっきりわかるのではないかと考えたのだ。
(縁談を進めるか、ストップすべきか、そこで決めよう)