S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
見た目も中身も男らしいし、彼は間違いなくモテるだろう。育郎や和葉には言わないだけで恋人くらいはいるのだろうと思っているが……。
安吾はどこか意味ありげにニヤリと笑ってみせた。
「そういうのは一人前になってからと思っています」
「もう十分に一人前の料理人だと思うよ。この前の試作品、最高においしかったし」
営業の隙間時間に安吾はよく育郎に提案するためのメニュー開発などを行っている。和葉と登美子は試食担当なのだ。
「本当ですか? あれは見た目の華やかさのわりにはコストも抑えられて、いいんじゃないかなと思ってるんですよ。師匠には、コストがどうとか余計なことを考えるなって言われそうですが」
安吾は苦笑いで顎を撫でた。
「ごめんね。おじいちゃんは本当に味のことしか考えない根っからの料理人だから。でも、店の経営はそれだけじゃ立ち行かないし、安吾くんの視点は大事だと思う」
職人気質の育郎は決して経営上手な人間ではない。芙蓉は、育郎の味を安吾と和葉と登美子が必死に支えることで成り立っている店なのだ。
「でも、経営はほかの誰かでもできるかもしれないけど、師匠の味は師匠にしか出せないですから」
「――ありがとう、安吾くん」
彼がわかってくれていることがうれしかった。
(結局、私が誰よりもおじいちゃんの料理のファンなんだよね)
「俺も、いつかはそんな料理人になりたいと思ってます」
安吾はどこか意味ありげにニヤリと笑ってみせた。
「そういうのは一人前になってからと思っています」
「もう十分に一人前の料理人だと思うよ。この前の試作品、最高においしかったし」
営業の隙間時間に安吾はよく育郎に提案するためのメニュー開発などを行っている。和葉と登美子は試食担当なのだ。
「本当ですか? あれは見た目の華やかさのわりにはコストも抑えられて、いいんじゃないかなと思ってるんですよ。師匠には、コストがどうとか余計なことを考えるなって言われそうですが」
安吾は苦笑いで顎を撫でた。
「ごめんね。おじいちゃんは本当に味のことしか考えない根っからの料理人だから。でも、店の経営はそれだけじゃ立ち行かないし、安吾くんの視点は大事だと思う」
職人気質の育郎は決して経営上手な人間ではない。芙蓉は、育郎の味を安吾と和葉と登美子が必死に支えることで成り立っている店なのだ。
「でも、経営はほかの誰かでもできるかもしれないけど、師匠の味は師匠にしか出せないですから」
「――ありがとう、安吾くん」
彼がわかってくれていることがうれしかった。
(結局、私が誰よりもおじいちゃんの料理のファンなんだよね)
「俺も、いつかはそんな料理人になりたいと思ってます」