S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
ひと月ほど前、ようやく和葉と気持ちを確かめ合うことができた。やっと本当の夫婦になれたのだ。十数年ごしの初恋が実ったのだから、浮かれるのも当然だろう。
女医は別の方向に視線を向け、細く息を吐く。
「円城寺先生とは対照的に、三浦先生はすっかり意気消沈してますね。あの大きな身体がなんだか小さく見えるわ」
「――あぁ」
柾樹も裕実を一瞥する。柾樹もフォローしたり励ましたりしているつもりだが、彼の気持ちはなかなか晴れないようだ。
「ベテラン看護師たちにまで、もう少しビシッとしたらどうかと言われてしまったみたいですよ。三浦先生が毅然としていないからだって」
三浦につきまとっている例の元患者の件は医局内でも広まりつつあって、裕実の対応にも問題があるんじゃないかという言われ方までされてしまっている。
「……相手は元患者だ。法的手段などに訴えたくはなかったが、それも考えないといけないかもな」
柾樹が言うと、彼女もうなずいた。
「えぇ、ここまでくるとただの迷惑行為です。情けなどかけずに、粛々と対応すべきだと私は思っています。ただ、それとは別に……三浦先生はこういう事態への対処法も学ばないといけないですよね」
彼女はとても優秀で、論理的な考え方をする人間だ。この発言もごもっともで、柾樹にも反論の余地はなかった。
「そうだな。指導医として、俺からも話をしてみる」
女医は別の方向に視線を向け、細く息を吐く。
「円城寺先生とは対照的に、三浦先生はすっかり意気消沈してますね。あの大きな身体がなんだか小さく見えるわ」
「――あぁ」
柾樹も裕実を一瞥する。柾樹もフォローしたり励ましたりしているつもりだが、彼の気持ちはなかなか晴れないようだ。
「ベテラン看護師たちにまで、もう少しビシッとしたらどうかと言われてしまったみたいですよ。三浦先生が毅然としていないからだって」
三浦につきまとっている例の元患者の件は医局内でも広まりつつあって、裕実の対応にも問題があるんじゃないかという言われ方までされてしまっている。
「……相手は元患者だ。法的手段などに訴えたくはなかったが、それも考えないといけないかもな」
柾樹が言うと、彼女もうなずいた。
「えぇ、ここまでくるとただの迷惑行為です。情けなどかけずに、粛々と対応すべきだと私は思っています。ただ、それとは別に……三浦先生はこういう事態への対処法も学ばないといけないですよね」
彼女はとても優秀で、論理的な考え方をする人間だ。この発言もごもっともで、柾樹にも反論の余地はなかった。
「そうだな。指導医として、俺からも話をしてみる」