S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 病院を訪れる人間は心も身体も弱っている。頼れる存在である医師や看護師に疑似的な恋愛感情を抱いてしまうことはよくあることで、裕実が直面している問題は医師には起こりがちなトラブルなのだ。

(三浦は優しい。それは医師としての長所でもあり、致命的な短所にもなりうる)

「円城寺先生は指導医としても有能ですから。期待してます」

 彼女はクスリと笑ってつけ加えた。

「これ以上の人手不足はごめんですからね!」
「――同感だ」

 午後にもう一件、手術の予定があるが、こちらはそう時間のかかるものではない。それが終わってから、裕実とあらためて話をしよう。柾樹はそう決意して、短い休憩を終え席を立った。
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