S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
今夜は少し肌寒いので、温かい緑茶を用意した。
「今日も一日、おつかれさまでした」
「おぉ、ありがとよ」
白髪もシワもあるが背筋はシャンと伸びており、江戸っ子らしい粋さが育郎のウリだ。
頑固な彼がたまに見せる優しい顔が和葉は大好きだった。でも、この家に来たばかりの頃は彼の不器用な優しさがわからなくて『怖いよ~』と泣いてばかりいたような気がする。きっと手を焼いただろうに、見捨てずに育ててくれた育郎には本当に感謝している。
「しかし、和葉はどんどん和香子に似てくるなぁ」
育郎は和葉の顔をまじまじと見て苦笑する。
「ちょうど、お母さんが家を飛び出した頃と同じ年だものね」
和香子は和葉の母の名だ。育郎は、ひとり娘の和香子に婿を取って芙蓉を継いでもらいたかった。和香子もそのつもりだろうと信じていたのに、彼女はある日突然、素性を明かすこともできない男性の子どもを妊娠したと言い出したのだ。当然、育郎は大反対。
「今思えば、俺も未熟だった。老舗料亭の主人っていう、ちっぽけなプライドを捨てられなかった」
育郎と和香子は絶縁し、和香子はシングルマザーとして和葉を育てることに決めたのだ。
「母ちゃんは俺たちの喧嘩にたいそう参ってしまってな、俺が殺したようなもんだ」
「それは違うよ」
「今日も一日、おつかれさまでした」
「おぉ、ありがとよ」
白髪もシワもあるが背筋はシャンと伸びており、江戸っ子らしい粋さが育郎のウリだ。
頑固な彼がたまに見せる優しい顔が和葉は大好きだった。でも、この家に来たばかりの頃は彼の不器用な優しさがわからなくて『怖いよ~』と泣いてばかりいたような気がする。きっと手を焼いただろうに、見捨てずに育ててくれた育郎には本当に感謝している。
「しかし、和葉はどんどん和香子に似てくるなぁ」
育郎は和葉の顔をまじまじと見て苦笑する。
「ちょうど、お母さんが家を飛び出した頃と同じ年だものね」
和香子は和葉の母の名だ。育郎は、ひとり娘の和香子に婿を取って芙蓉を継いでもらいたかった。和香子もそのつもりだろうと信じていたのに、彼女はある日突然、素性を明かすこともできない男性の子どもを妊娠したと言い出したのだ。当然、育郎は大反対。
「今思えば、俺も未熟だった。老舗料亭の主人っていう、ちっぽけなプライドを捨てられなかった」
育郎と和香子は絶縁し、和香子はシングルマザーとして和葉を育てることに決めたのだ。
「母ちゃんは俺たちの喧嘩にたいそう参ってしまってな、俺が殺したようなもんだ」
「それは違うよ」