S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
和香子が出ていってしばらくしてから、育郎は妻を亡くしてしまった。和香子を許せなかったこと、そのことで妻の心に負担をかけたことを育郎はずっと後悔してきたんだろうと思う。
和葉が八歳のとき、和香子は癌で余命宣告された。和葉をひとりで育てるために、かなりの無理をしていたのかもしれない。発覚したときにはもう手のほどこしようもなかったそうだ。
「我が娘ながら頑固でな。いよいよってところまで連絡も寄こさねぇで」
病院から連絡をもらって育郎が駆けつけたときには、すでに和香子は死に瀕していて会話もままならなかったそうだ。育郎には【和葉を頼む】という和香子からの手紙と、幼い孫娘の和葉だけが残された。
妻も亡くしていて子育てには戸惑いもあっただろうに、彼は『俺が絶対に幸せにしてやる』と言って引き取ってくれたのだ。そして、約束どおり大切に育ててくれた。
男らしく、愛情深く、世界で一番料理の上手な和葉の自慢の祖父だ。
「お母さん、性格も私と似ているところがあった? 顔だけ?」
和葉は八歳まで和香子とふたりで暮らしていた。ひとりで和葉を育てるのには相当な苦労があっただろう。それなのに、薄情なことに和葉には母の記憶がほとんど残っていない。
和香子を亡くしたショックで記憶が混乱したのだろうと診断された。育郎がカウンセリングなどに通わせてくれたりもしたが……結局、取り戻すことは叶わなかった。
和葉が八歳のとき、和香子は癌で余命宣告された。和葉をひとりで育てるために、かなりの無理をしていたのかもしれない。発覚したときにはもう手のほどこしようもなかったそうだ。
「我が娘ながら頑固でな。いよいよってところまで連絡も寄こさねぇで」
病院から連絡をもらって育郎が駆けつけたときには、すでに和香子は死に瀕していて会話もままならなかったそうだ。育郎には【和葉を頼む】という和香子からの手紙と、幼い孫娘の和葉だけが残された。
妻も亡くしていて子育てには戸惑いもあっただろうに、彼は『俺が絶対に幸せにしてやる』と言って引き取ってくれたのだ。そして、約束どおり大切に育ててくれた。
男らしく、愛情深く、世界で一番料理の上手な和葉の自慢の祖父だ。
「お母さん、性格も私と似ているところがあった? 顔だけ?」
和葉は八歳まで和香子とふたりで暮らしていた。ひとりで和葉を育てるのには相当な苦労があっただろう。それなのに、薄情なことに和葉には母の記憶がほとんど残っていない。
和香子を亡くしたショックで記憶が混乱したのだろうと診断された。育郎がカウンセリングなどに通わせてくれたりもしたが……結局、取り戻すことは叶わなかった。