S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
「好きだった長さだけは負けてないと思ってたのに……結局そこも完敗だったってことですね、悔しいけど」

 安吾は和葉に顔を向け、言う。

「和葉お嬢さんはこれからもずっと、俺の大切な人ですから……必ず幸せになってくださいね」
「ありがとう、安吾くん!」

 帰宅してから、和葉は芙蓉での話を柾樹に報告した。

「柾樹さんの行動はすべて、私のためだったんですね。最初は嫌な人だと思ってしまったけど……とんだ誤解でした」

 和葉はぺろりと舌を出す。柾樹は最初からずっと、和葉のことだけを考えてくれていたのだ。彼にもらったたくさんの愛を、これからは自分も返していきたい。そう思った。

「たしかに。ナルシストだのなんだのと、散々な言われようだった」

 柾樹がぼやく。

「え~っと、ナルシストに関しては誤解じゃないような……」

 ふたりの明るい笑い声がリビングルームに響いた。
 和葉は満面の笑みで彼に告げる。

「柾樹さん、大好きです!」

 彼は心からの、幸せそうな笑顔を返してくれる。

「あぁ、俺も和葉を愛している。言っておくが、俺の愛のほうが何倍も重いからな」
「えぇ~、そんなことないですよ! 私だって」

 どちらの愛がより重いか、そんな不毛な議論をふたりはいつまでも続けていた。

 
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