S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 柾樹は出産に立ち会えるよう、いろいろ根回しをしているようだ。けれど、彼のいる外科は緊急事態が日常でもあるので……現実には難しい場合もあるだろう。

 和葉はもう動くのもひと苦労なので、食事は柾樹が手早く用意してくれて、ふたりで楽しく食べた。食後に、彼はデザートも出してくれた。

「わぁ、おいしそう! 苺も大好きだけど、メロンも好きなんですよね」
「メロンは妊婦にオススメの果物だ。ビタミンやカリウムが摂取できるからな」
「じゃあ、たくさん食べちゃおうっと」

 寧々が差し入れてくれたメロンを食べ終えたところで、和葉は「あれ?」と首をかしげた。

「どうした?」

 柾樹に聞かれても、すぐには答えられない。こんな感覚は初めてで、いまいち確証が持てなかったからだ。彼はハッとした顔で席を立ち、向かいに座る和葉のところまでやってきた。和葉の背をさすりながら言う。

「もしかして、陣痛か?」
「……じゃなくて、破水。破水したかもしれないです……」
「えぇ?」

 お産の流れは、最初に陣痛があって、その後に破水というのが一般的だが、破水から始まるケースもそう珍しいことではない。病院からはそんな説明も受けていた。どうやら和葉は後者だったようだ。

(これは、間違いない気がする)

「すぐに病院に連絡しよう。俺も一緒に行く」
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