S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
「なっていません。これは善意でお伝えしますが……いくらなんでも自意識過剰だと思いますよ! ちょっと美形だからって、世界中の女が自分を好きになるとでも?」
和葉の憎まれ口に、彼は明るい笑い声をあげる。
「ご忠告に感謝するよ。そうだな。じゃあ――」
ふいに柾樹が立ちあがる。百六十センチの和葉よりも頭ひとつぶんは背が高い。顔は小さく、モデルのような頭身バランスだ。
柾樹の顔が近づき、彼の吐息が和葉の頬をくすぐる。
「手始めに、お前が俺に惚れるかどうか……ためしてみようか」
柾樹の発する濃厚な色香に惑わされ、和葉は身じろぎもできなかった。ふたりは言葉もなく見つめ合う。
「な、なにを……」
そのとき、奥からなにかが割れるような音が聞こえてきた。静かな店内に響いた大きな物音に、柾樹も和葉も目を走らせる。
「――師匠!」
重ねて届いた安吾の声も、普段のトーンではない。なにか異変があったようだ。
「どうしたの?」
和葉はすぐさま厨房に走った。
調理具道具をしまう棚の近くに安吾がかがみ込んでおり、そのかたわらに育郎が倒れていた。
血の気が引いた育郎の顔を見た瞬間、心臓をギュッとわしづかみにされたような痛みを覚えた。
「おじいちゃん!」
和葉は育郎に駆け寄り、彼の肩に手をかけようとする。が、誰かの大きな手にそれを阻まれた。
「代われ」
和葉の憎まれ口に、彼は明るい笑い声をあげる。
「ご忠告に感謝するよ。そうだな。じゃあ――」
ふいに柾樹が立ちあがる。百六十センチの和葉よりも頭ひとつぶんは背が高い。顔は小さく、モデルのような頭身バランスだ。
柾樹の顔が近づき、彼の吐息が和葉の頬をくすぐる。
「手始めに、お前が俺に惚れるかどうか……ためしてみようか」
柾樹の発する濃厚な色香に惑わされ、和葉は身じろぎもできなかった。ふたりは言葉もなく見つめ合う。
「な、なにを……」
そのとき、奥からなにかが割れるような音が聞こえてきた。静かな店内に響いた大きな物音に、柾樹も和葉も目を走らせる。
「――師匠!」
重ねて届いた安吾の声も、普段のトーンではない。なにか異変があったようだ。
「どうしたの?」
和葉はすぐさま厨房に走った。
調理具道具をしまう棚の近くに安吾がかがみ込んでおり、そのかたわらに育郎が倒れていた。
血の気が引いた育郎の顔を見た瞬間、心臓をギュッとわしづかみにされたような痛みを覚えた。
「おじいちゃん!」
和葉は育郎に駆け寄り、彼の肩に手をかけようとする。が、誰かの大きな手にそれを阻まれた。
「代われ」