S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
(芙蓉は存続させたい。でも、借金まみれの状態で安吾くんに引き継ぐわけにもいかない。おじいちゃんの悩みの種だったことが、彼との結婚で解決する?)

 とはいえ、和葉だって年頃の乙女だ。いつかは愛する人と幸せな結婚を、と夢見てもいた。お金に目がくらんだ結婚なんて悲しすぎる。

 和葉は考えていることが顔に出やすいので、柾樹はそれを読み取ったのだろう。ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

「俺のほうは構わないよ。お前が札束と結婚するつもりでいてもな」
「うっ……そもそも、私と結婚することであなたになんのメリットが?」

 和葉には十分な魅力のある提案だ。だが、彼のほうはどうなのだ? やっぱりなにか裏があるのだろうか。

「のぞき見していただろう? 久野家のご令嬢と破談になって困っているんだ。彼女と結婚するつもりで、いろいろと準備をしていたから。手っ取り早い代わりの花嫁を探している」
「破談になって……って、そう仕向けたのはあなたでしょう!」

 結婚するつもりだった女性に、なぜあんな態度を取ったのだろう。和葉には目の前の男がまったく理解できない。

「これは、おじいちゃんを助けてもらったお礼のつもりで言いますが……今からでも沙月さんに頭をさげて、お見合いをやり直してもらったらどうでしょうか? 私は仕事柄、たくさんのご令嬢を見てきましたが、彼女ほど素晴らしい女性はそうはいません」
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