S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
「美容医療は一番伸びている分野だからな。うちとしても注力している。オーシャンスパ&リゾートのブランドは海外をメインに展開していて、日本ではここと伊勢志摩の二か所だけだ」
(こんなに豪華なホテルを世界中に展開していて、おまけにそれがメインの事業ではないんだもんね。スケールが……)
小さな芙蓉を守り続けている自分の家とは、別世界で彼はビジネスをしているのだ。
(今さらながら、隣にいるのがおこがましい気がしてきた)
和葉の表情が曇ったことに気がついて、柾樹は尋ねる。
「スパやエステには興味がないか?」
「温泉は大好きですけど……こんなに豪華でなくても、もっと素朴な温泉宿で私は十分です」
ラグジュアリースパにだって憧れるが、彼のセレブっぷりに引け目を感じて、そんなふうに口走ってしまった。
(あ。せっかく連れてきてもらったのにひどい言い方――)
さすがに失礼すぎると謝罪しようとしたが、彼はなぜかうれしそうな顔をする。
「そうか、気が合うな。俺もひなびた風情ある温泉宿は大好きだ。では、次はそういう場所に行こう。オススメはいろいろあるぞ」
「じゃあ、なんで今日はここへ?」
「女は金のかかったデートが好きだろう。――どれだけ金をかけたかで、こちらの気持ちをはかる」
柾樹はさらりと答えたけれど、その表情には彼らしくない陰りが見えた。
(こんなに豪華なホテルを世界中に展開していて、おまけにそれがメインの事業ではないんだもんね。スケールが……)
小さな芙蓉を守り続けている自分の家とは、別世界で彼はビジネスをしているのだ。
(今さらながら、隣にいるのがおこがましい気がしてきた)
和葉の表情が曇ったことに気がついて、柾樹は尋ねる。
「スパやエステには興味がないか?」
「温泉は大好きですけど……こんなに豪華でなくても、もっと素朴な温泉宿で私は十分です」
ラグジュアリースパにだって憧れるが、彼のセレブっぷりに引け目を感じて、そんなふうに口走ってしまった。
(あ。せっかく連れてきてもらったのにひどい言い方――)
さすがに失礼すぎると謝罪しようとしたが、彼はなぜかうれしそうな顔をする。
「そうか、気が合うな。俺もひなびた風情ある温泉宿は大好きだ。では、次はそういう場所に行こう。オススメはいろいろあるぞ」
「じゃあ、なんで今日はここへ?」
「女は金のかかったデートが好きだろう。――どれだけ金をかけたかで、こちらの気持ちをはかる」
柾樹はさらりと答えたけれど、その表情には彼らしくない陰りが見えた。