S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】

　彼に聞かれて、慌てて首を横に振る。

「大丈夫です。水着は……恥ずかしいので」

　梅雨明けも近いのか、今日は夏らしい陽気で太陽がまぶしい。泳いだら、きっと気持ちいいだろうけど……つい最近知り合ったばかりの男性の前で水着になる勇気はない。

「了解。まぁ、ここはいつでも来られるから」

　自分との関係が継続する前提で、彼が話をするのがすごく不思議な気がした。

（本来なら住む世界が違う人なのに）

　泳げなくても、こうやって海を眺めながらプールサイドで過ごすひとときは最高だ。

「スムージーもおいしいし、エステも至福の時間でした」

（店の資金繰りやおじいちゃんが倒れたことで、このところ気持ちが張りつめていたから……）

　和葉はちらりと隣の柾樹に目を走らせる。
　やっぱり、彼にはこういうラグジュアリーな空間がよく似合う。

「なに、また俺に見とれてた？」

　ふっと笑って、彼は流し目を送ってよこす。発言はあいかわらずだ。

「別に見とれてませんが……でも、ありがとうございました。すごくリフレッシュできた気がします」
「このあとはフレンチのコースを食べよう。和葉はもうちょっと太ったほうがいい。女は多少ぽっちゃりしているほうが俺好みだ」
「なんで私が円城寺さんの好みに合わせなきゃならないんですか……」
「妻になるなら、そのくらいの努力はしてくれてもいいだろう？」