S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 結婚相手としての彼はまだわからない面ばかりだけど、医師としての彼は最初からずっと信用に値する人物だった。育郎にとって彼以上の医師はいないと、和葉は本心から思っている。
 柾樹はうれしそうに目を細めた。

「任せてくれ」
「それから……」

 和葉は今日の本題に水を向ける。

「結婚のこと、円城寺さんは本気でお考えなんですか?」
「もちろん。俺はくだらない冗談を言うほど暇な人間じゃないぞ。」
「では、私も真面目に答えますが……たとえ私がイエスと言っても、円城寺さんのご家族がお認めにはならないのでは?」

 育郎と芙蓉は和葉の誇りで、誰に恥じることもないと思っているが……上流階級の結婚には家格というものがあることも理解はできる。柾樹本人は、あれこれうるさく言わない庶民的な和葉がちょうどいいと考えているのだろうが、円城寺家はそれで納得するのだろうか。
 柾樹はバカバカしいとでも言いたげに細く息を吐く。

「釣り合いってやつか?」
「はい」

 柾樹はクッと白い歯を見せて笑う。

「血統、家柄……これらを求める家はしょせんは二流だ。円城寺は、妻の実家の権力や財力に頼る必要などない。そんなものなくても揺らがないからな」

(す、すごい自信)

 でも、彼らしい答えで和葉は思わずクスリと笑みをこぼした。
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