S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
「なんだか、だんだん円城寺さんのナルシストぶりが癖になってきました。次はどんな言葉を聞かせてくれるのかなって」
「いい傾向だ。そのうち俺のことが頭から離れなくなるぞ」
「あははっ」
和葉が声をあげて笑うと、柾樹は満足そうにほほ笑む。
「家族の反応を気にするということは……和葉自身は結婚に乗り気ということでいいな」
「え……そこまでは言ってないんですけど」
「素直になれ。円城寺本家にあいさつする段取りを決めて、また連絡するよ」
「ちょっと、円城寺さん。そんな強引な――」
彼は仕事の早い男で、それから数週間後には和葉は円城寺本家にあいさつに出向くことになった。
和葉を助手席に乗せた柾樹の車が、渋谷区松濤の地を走る。数ある高級住宅街のなかでも特別な場所だといううわさは耳にしていたが、現実はうわさ以上だった。
車窓から外を眺める和葉の口は、あんぐりと開いたままだ。
区画の広い豪邸ばかりが並び、どの家も要塞のように高い塀に囲われている。車や人の往来は少なく、静かだ。
「て、敵でも攻めてくるんですかね?」
和葉の素直な感想に柾樹は軽く噴き出す。
「ま、そういう家もあるんだろうが……ほとんどの家はただプライバシーを気にしているだけだ。このへんは政治家や芸能人、世間に顔を知られている人間が多く住んでるから」
「いい傾向だ。そのうち俺のことが頭から離れなくなるぞ」
「あははっ」
和葉が声をあげて笑うと、柾樹は満足そうにほほ笑む。
「家族の反応を気にするということは……和葉自身は結婚に乗り気ということでいいな」
「え……そこまでは言ってないんですけど」
「素直になれ。円城寺本家にあいさつする段取りを決めて、また連絡するよ」
「ちょっと、円城寺さん。そんな強引な――」
彼は仕事の早い男で、それから数週間後には和葉は円城寺本家にあいさつに出向くことになった。
和葉を助手席に乗せた柾樹の車が、渋谷区松濤の地を走る。数ある高級住宅街のなかでも特別な場所だといううわさは耳にしていたが、現実はうわさ以上だった。
車窓から外を眺める和葉の口は、あんぐりと開いたままだ。
区画の広い豪邸ばかりが並び、どの家も要塞のように高い塀に囲われている。車や人の往来は少なく、静かだ。
「て、敵でも攻めてくるんですかね?」
和葉の素直な感想に柾樹は軽く噴き出す。
「ま、そういう家もあるんだろうが……ほとんどの家はただプライバシーを気にしているだけだ。このへんは政治家や芸能人、世間に顔を知られている人間が多く住んでるから」