S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
「――やっぱり。ふふ、そうじゃないかなと思ったのよ」
寧々は意味ありげに目を細めた。
(どういう意味だろう?)
少し気になったが、唄菜と寧々がどんどん話を進めるので、聞くチャンスは訪れないままになった。
「これでやっと、柾樹も身を固めるってことね」
唄菜が言えば、柾樹はけむたそうな顔で返す。
「やっとと言われるような年齢でもないだろ。だいたい、自分だってまだ独身じゃないか」
唄菜は柾樹より三つ年上とのことだから、今三十一歳だ。
「私は結婚願望ないもの。柾樹がしっかり跡継ぎらしくしてくれれば、私は自由の身でいられるし感謝してる!」
「しない。じゃなくて、できないの間違いだろ」
「ふふん。なんとでも言ってちょうだい」
姉弟喧嘩を始めたふたりを無視して、寧々は和葉に向き直る。
「結婚式はどうする? その前に、さすがに芳樹さんも和葉ちゃんにごあいさつをしないといけないわよね~。いろいろ忙しいみたいだけど、一度帰国してもらわなきゃね」
芳樹は柾樹の父親の名前のようだ。
「同居はいつから? お祝いにキングサイズのベッドでも贈ろうか?」
「えっと、その……」
名家ならではの厳しい雰囲気を覚悟していた和葉は、寧々と唄菜の普通っぷりに逆に戸惑ってしまう。
(なんか、同じ町内の気心の知れたふたりが結婚しますみたいな空気感だけど……なにかの罠だったり……しないよね?)
寧々は意味ありげに目を細めた。
(どういう意味だろう?)
少し気になったが、唄菜と寧々がどんどん話を進めるので、聞くチャンスは訪れないままになった。
「これでやっと、柾樹も身を固めるってことね」
唄菜が言えば、柾樹はけむたそうな顔で返す。
「やっとと言われるような年齢でもないだろ。だいたい、自分だってまだ独身じゃないか」
唄菜は柾樹より三つ年上とのことだから、今三十一歳だ。
「私は結婚願望ないもの。柾樹がしっかり跡継ぎらしくしてくれれば、私は自由の身でいられるし感謝してる!」
「しない。じゃなくて、できないの間違いだろ」
「ふふん。なんとでも言ってちょうだい」
姉弟喧嘩を始めたふたりを無視して、寧々は和葉に向き直る。
「結婚式はどうする? その前に、さすがに芳樹さんも和葉ちゃんにごあいさつをしないといけないわよね~。いろいろ忙しいみたいだけど、一度帰国してもらわなきゃね」
芳樹は柾樹の父親の名前のようだ。
「同居はいつから? お祝いにキングサイズのベッドでも贈ろうか?」
「えっと、その……」
名家ならではの厳しい雰囲気を覚悟していた和葉は、寧々と唄菜の普通っぷりに逆に戸惑ってしまう。
(なんか、同じ町内の気心の知れたふたりが結婚しますみたいな空気感だけど……なにかの罠だったり……しないよね?)