S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
ちょうどいい機会なので、結婚のことを彼にも報告しておこうと思ったのだ。店の仕事はこれまでどおりに続けるつもりだが、店と自宅に距離ができることで彼に迷惑をかけることもあるかもしれないから。
病院の待合いソファに腰かけて、和葉は安吾に打ち明ける。彼は育郎と同じく、衝撃に目を丸くした。
「主治医の円城寺先生と?」
「うん。いろいろあって、そういう話になりまして……」
安吾は複雑そうな顔で黙り込む。
「急な話で迷惑をかけちゃうんだけど」
「いや。迷惑とかではありませんが……」
「もしかして、安吾くんは反対?」
和葉は彼の顔をのぞき込む。
育郎は驚きつつもうれしそうにしてくれたが、安吾の表情はそうではない。祝福の雰囲気は感じられなかった。
「あ~、えっと……」
彼らしくもなく歯切れが悪い。
「気になることがあれば遠慮なく話して。安吾くんは家族みたいなものだもの」
安吾は意を決したように、まっすぐに和葉の顔を見た。
「この結婚は、本当にお嬢さんの本意ですか?」
「えっ――」
「和葉お嬢さんは素直で、思ってることがすぐに顔に出る。今の顔、結婚が決まった幸せいっぱいの女性には見えなくて……だから心配です」
(うっ。安吾くん、昔からこういうところ鋭いのよね)
和葉が友達と喧嘩したとき、育郎に叱られたとき、和葉が落ち込んでいると彼はいつも気がついて声をかけてくれた。
病院の待合いソファに腰かけて、和葉は安吾に打ち明ける。彼は育郎と同じく、衝撃に目を丸くした。
「主治医の円城寺先生と?」
「うん。いろいろあって、そういう話になりまして……」
安吾は複雑そうな顔で黙り込む。
「急な話で迷惑をかけちゃうんだけど」
「いや。迷惑とかではありませんが……」
「もしかして、安吾くんは反対?」
和葉は彼の顔をのぞき込む。
育郎は驚きつつもうれしそうにしてくれたが、安吾の表情はそうではない。祝福の雰囲気は感じられなかった。
「あ~、えっと……」
彼らしくもなく歯切れが悪い。
「気になることがあれば遠慮なく話して。安吾くんは家族みたいなものだもの」
安吾は意を決したように、まっすぐに和葉の顔を見た。
「この結婚は、本当にお嬢さんの本意ですか?」
「えっ――」
「和葉お嬢さんは素直で、思ってることがすぐに顔に出る。今の顔、結婚が決まった幸せいっぱいの女性には見えなくて……だから心配です」
(うっ。安吾くん、昔からこういうところ鋭いのよね)
和葉が友達と喧嘩したとき、育郎に叱られたとき、和葉が落ち込んでいると彼はいつも気がついて声をかけてくれた。