S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 柾樹が彼らしいせっかちさでそう主張するので、今日ここに来る前にふたりで役所に寄って提出を済ませてきた。なので、和葉はもう彼の妻なのだ。

「こんなに急がなくても、よかったのでは?」
「時間を与えると和葉が逃げそうだから」

 ニヤリと笑って柾樹は言う。

「そんなことは……」

 ふいに彼の顔が近づく。逃がさないとでもいうように、彼の瞳の奥が光る。

「え、円城寺さん?」
「覚えておけ。この距離まで顔が近づいたら、黙っておくのがマナーだ」

 柾樹の手が和葉の後頭部を包み、退路を塞がれる。次の瞬間には唇を奪われていた。
甘く、熱いキス。柾樹のキスは強引なのに巧みで、頭の芯が痺れるようだった。

「んんっ」

 和葉の口から艶めいた吐息が漏れる。

「いいな、それ。もっと聞かせろよ」

 和葉の劣情をかき立てるように、柾樹のキスは深くなっていく。焦らすような手つきで背中を撫でられ、和葉の肌はぶわりと粟立つ。

(こんな感覚、知らない……)

「はっ、ま、待って」

 止めようと思っても、甘ったるい声がこぼれてしまう。

「無理。俺はもう限界」

 柾樹は短く言うと、いきなり和葉の身体を横抱きにかかえて立ちあがる。

「え、あの円城寺さん? どこへ……」

 広いリビングルームを彼はスタスタと歩いて突っ切る。

「ベッドルーム」
「えぇ? なにを考えて……」
「言わせたいのか?」

 煽情的な顔で彼は笑う。
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