S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
膝の上に置いた和葉の手に、柾樹の大きな手が伸びる。ギュッと握られて、和葉の心臓は小さく跳ねた。
「そんなこと言われたら、帰せなくなる」
顔を真っ赤にした和葉を見て、柾樹はもう一度小さくため息を落とした。
「……やっぱり帰れ。そういう顔も……キスしたくなるし、抱きたくなる」
「そ、それは絶対ダメですけど、看病はします!」
「――悪魔め。こっちは病人なんだからもっと優しくしろよ」
必要そうなものを買い出し、おかゆを作って、夜八時頃に実家に戻ることにした。
「すみません。やっぱり、おじいちゃんも心配なので」
ひと晩くらい彼についていてあげたいが、安吾たちがいなくなったあとで育郎をひとりにしておくのも不安だった。
「俺のはただの疲労からくる風邪だから。問題ないよ」
「もし、なにかあったら遠慮なく電話してくださいね! 駆けつけますから」
先ほど少し眠ったせいか、柾樹の身体はずいぶん楽になったようだ。彼はニヤリと笑う。
「ほら。俺に襲われたくなかったら、さっさと帰れ」
「――おじいちゃんがもう少し元気になったら、またここに戻ってきてもいいですか?」
自分でも無意識のうちに、そんな台詞が飛び出していた。
(認めたくない気もするけど……柾樹さんと一緒にいると安心する)
柾樹は目を瞬き、それからふっと笑った。
「当たり前のことを聞くな。むしろ戻ってこなかったら怒るぞ。――待ってる」
「そんなこと言われたら、帰せなくなる」
顔を真っ赤にした和葉を見て、柾樹はもう一度小さくため息を落とした。
「……やっぱり帰れ。そういう顔も……キスしたくなるし、抱きたくなる」
「そ、それは絶対ダメですけど、看病はします!」
「――悪魔め。こっちは病人なんだからもっと優しくしろよ」
必要そうなものを買い出し、おかゆを作って、夜八時頃に実家に戻ることにした。
「すみません。やっぱり、おじいちゃんも心配なので」
ひと晩くらい彼についていてあげたいが、安吾たちがいなくなったあとで育郎をひとりにしておくのも不安だった。
「俺のはただの疲労からくる風邪だから。問題ないよ」
「もし、なにかあったら遠慮なく電話してくださいね! 駆けつけますから」
先ほど少し眠ったせいか、柾樹の身体はずいぶん楽になったようだ。彼はニヤリと笑う。
「ほら。俺に襲われたくなかったら、さっさと帰れ」
「――おじいちゃんがもう少し元気になったら、またここに戻ってきてもいいですか?」
自分でも無意識のうちに、そんな台詞が飛び出していた。
(認めたくない気もするけど……柾樹さんと一緒にいると安心する)
柾樹は目を瞬き、それからふっと笑った。
「当たり前のことを聞くな。むしろ戻ってこなかったら怒るぞ。――待ってる」