S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
「はい。この前、柾樹さん忙しすぎて体調不良になったでしょう? 睡眠は私にはお手伝いできませんけど、栄養面ならサポートできるかなと!」

 健康には睡眠と栄養が大事だ。彼は夜も外で済ませる日も多いから、昼をお弁当にしたらどうか?と提案してみた。
 柾樹は意外な言葉を聞いたという顔だ。沈黙に耐えられず、和葉は言葉を重ねる。

「おじいちゃんや安吾くんには及ばないですけど、家庭料理は得意なんです! あのふたりも『玉子焼きだけは和葉の作るものが一番だ』と認めてくれてますし」

 彼ならきっと喜んでくれると思っていたのに……柾樹の反応は和葉が期待したものではなかった。柾樹は複雑そうな顔で口をつぐんでしまった。

「あ……そうか。ランチもお付き合いとか、いろいろ都合がありますよね。ごめんなさい、ひとりで勝手に先走ってしまって」

 がっかりする気持ちのにじむ声で和葉が言うと、柾樹はふと我に返ったようにこちらを見た。慌てた様子で口を開く。

「いや……弁当、助かるよ。付き合いがあるときはちゃんと伝えるし、楽しみにしてる」

 柾樹が笑ってくれたので、和葉はホッと安堵する。

(よかった。とりあえず迷惑ではなかったみたい)

 こうして、翌日から和葉は彼に弁当を作ることにした。
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