二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
第1章 SSRって、何?
その夜、拓人は感じた悪寒を無理矢理無かったことにしながら、迫り来る締め切りに間に合わせるために、机に向かった。
そして、拓人がヘッドホンをつけ、お気に入りのリズミカルな洋楽を体に染み込ませながら、自分史上の名シーンを超高速タイピングで打ち込んでいる深夜3時過ぎのことだった。
ピンポーンと、近所迷惑なインターホンが鳴り響く。
もちろん、防音完璧なマンションなので、近所迷惑ということはないが、自分にとっては大迷惑だ。
そして、こんな時間なんかにやってくる客は1人しか心当たりはない拓人は、その悪魔の足跡のようなインターホンを無かったことにしたかった。
でも悪魔は、容赦無くインターホン攻撃を拓人の気が狂いかけるまで続ける。
「ああ!もう!!」
拓人は、せっかくシャワー上がりにオイルで整えたばかりの綺麗な髪をかきむしりながら、インターホンに出た。
そして数分後……。
「拓人……話があるんだけど」
「断る」
歩く公害こと芹沢涼、もとい、自分の生物学上の兄を部屋にあげた拓人は、他の客だったらもてなしたコーヒーすらも出さず、水道水をグラスに入れただけのものを投げやりに涼に押し付けた。
「まだ、何も言ってないんだけど?」
「断るったら断る。あんたがこんな時間に訪ねてくるなんて、ロクなことじゃないのはわかってるのよ」
「聞きたいことがあるんだけど」
「どうせロクなことじゃないんでしょ?」
「SSRって何?」
「だから、断るって言ってんで……え? 何だって?」
人間とは、想像もしていない相手から聞き馴染みのある言葉を聞くとフリーズしてしまうらしい。
無駄に知ってしまった知識を、いつシナリオに使えるのだろうかと考えながら、拓人は質問内容を再度確認した。
そして、拓人がヘッドホンをつけ、お気に入りのリズミカルな洋楽を体に染み込ませながら、自分史上の名シーンを超高速タイピングで打ち込んでいる深夜3時過ぎのことだった。
ピンポーンと、近所迷惑なインターホンが鳴り響く。
もちろん、防音完璧なマンションなので、近所迷惑ということはないが、自分にとっては大迷惑だ。
そして、こんな時間なんかにやってくる客は1人しか心当たりはない拓人は、その悪魔の足跡のようなインターホンを無かったことにしたかった。
でも悪魔は、容赦無くインターホン攻撃を拓人の気が狂いかけるまで続ける。
「ああ!もう!!」
拓人は、せっかくシャワー上がりにオイルで整えたばかりの綺麗な髪をかきむしりながら、インターホンに出た。
そして数分後……。
「拓人……話があるんだけど」
「断る」
歩く公害こと芹沢涼、もとい、自分の生物学上の兄を部屋にあげた拓人は、他の客だったらもてなしたコーヒーすらも出さず、水道水をグラスに入れただけのものを投げやりに涼に押し付けた。
「まだ、何も言ってないんだけど?」
「断るったら断る。あんたがこんな時間に訪ねてくるなんて、ロクなことじゃないのはわかってるのよ」
「聞きたいことがあるんだけど」
「どうせロクなことじゃないんでしょ?」
「SSRって何?」
「だから、断るって言ってんで……え? 何だって?」
人間とは、想像もしていない相手から聞き馴染みのある言葉を聞くとフリーズしてしまうらしい。
無駄に知ってしまった知識を、いつシナリオに使えるのだろうかと考えながら、拓人は質問内容を再度確認した。