おにぎり屋さんのイケメン店長は、初恋の彼女を口説き落としたい。
お皿を洗ったり仕込みの野菜を切ったり、定食で出す糠漬けを出して糠を洗い流しそれを容器に入れていつでも出せるように準備したりする。
「花葉ちゃん、慣れてきたね。めちゃくちゃ上達してる」
「あはは……ありがとうございます。マシになりましたか?」
「うん。とても……本当成長してる」
実のところ、私は高校の調理実習以来包丁を持ってなくて……散々だった。ネギを切っても小口ぎりをしているつもりが全く切れていなくて繋がっていたり、きゅうりは薄く切ることができなかった。漬物だって均等に切っているつもりが数が間違っていたりとご迷惑ばかりをかけていて私が切ったものはお客さんが「なんか体調悪い?」と篠原さんのことを心配しちゃうくらいだった。
「ありがとうございます」
「うん。じゃ、もう少しよろしくね」
「はい!」
私は仕込みが終わると、次は接客に取り掛かった。