おにぎり屋さんのイケメン店長は、初恋の彼女を口説き落としたい。
「だって、篠原洸明さんは私が勤務してる会社の前の社長だよ」
「……えっ」
そういえば、亜由美が働いている会社って篠原食品株式会社だった気がする。
そんなことがあるんだなぁ……
「まぁ、色々噂は飛び交ってるからなんで社長職から降りたのか分からないんだけど……でも、とても優しそうないい方でしょ」
「うん。とっても優しい……少しだけ過保護だけど、でも素敵な人だよ」
「だよね、過保護なんだ。その情報は知らなかったけど、そういえば同居生活はどうなの。あんなかっこいい男性が家にいたら毎日キュンキュンしない? 好きになったりはしないの?」
「……っ、そんな、しないよ。だって私、居候の身だし」
そうだよ、うん。少し気になってしまうけど……恋なんかじゃない。
「そうなのね、つまんない。でもさ、好きならちゃんと伝えた方がいいと思う。後悔しないように」
「……うん。ありがとう」
「じゃあ、買い物に行こうか」
カフェを出ると服を買いにファッションフロアへと向かった。