キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
➴⡱prologue
清々しい光、まだ布団から出たくないと思わせてくる肌寒い風。
ごくありふれた目覚めの朝ではあるはず……が。
こんな朝を、わたしは知らない。
「「「お願いします……!!!」」」
右からお父さん、お母さん、じいちゃん。
揃いに揃って迎えてくれた朝は、なぜかわたしの前に皆して土下座だと。
“おはようございます”ならぬ、“お願いします”。
この時点で察しなければならないのだろうわたしは、寝起きということもあって困惑。
からの、笑顔。
「え~、なにもう~。年が明けて5日目だからってみんなして頭下げてくるやったあ」
「……なんで照れちゃったのかしら、この子。どうしよう、アホの子どうしよう…」
「え?」
聞き間違い…?
いま、“アホの子”って言わなかった?
ねえねえお母さん、それってわたしのこと…?