キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
➴⡱moment.1
銀髪の神様
「えっ、転校…?まじで?」
「うん」
「うっそでしょ…!?カンナが居なかったらあたし、ぼっち弁当なんだけど…!」
「ごめん、なーちん」
高校1年生の冬休みが明けて、3学期が始まった初日。
さっそく友達である那智(なち)ちゃんこと、通称なーちんに打ち明けたわたし───郡 カンナ(こおり かんな)、16歳。
「なんでそんなにあっさりしてんのよ…?塩味?いやむしろ無味?」
「だってね、それが1年だけなの。お父さんの仕事の都合?みたいな感じでっ」
と、言っておけと言われた。
これがいちばん乗りきれる説明というか、詳しくは踏み込まれない安全策なんだって。
「へっ?そーなの?じゃあまた戻って来てくれるの!?」
「うんっ」
「よかったあ…、いやすっごい寂しいけど…!メールはできるだけ必須ね?あたしのこと忘れちゃダメよ?」
「もっちろん!なーちん大好きっ」