キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
➴⡱moment.2
ほろ苦くて、甘い
「ふっ、スカイ(空)も俺たちの勝利を願ってくれてるな…」
「うわ、恥ずかし。しんど」
「見たまえよ頼くん。クラウド(雲)のひとつすらないぜ」
「そっちにあるけど。てかその痛キャラ、どっからの影響?」
「………不良高校が甲子園に行くっていうアニメの2話に出てくる、補欠キャラ」
「補欠かよ」
待ちに待った体育祭がやってきた。
もちろん寝坊せず起きれた朝、しっかりと朝ごはんも食べてきたし、なんと今日はお弁当持参だったりもする。
それもこれも、こんなときくらいはと、お母さんがわたしのマンションに来てくれて親子の時間を過ごしたのだ。
「カンナ、ちょっと来て」
「え?…わっ、頼くん!」
教室を出てグラウンドに移動しようとしたわたしは、それ前に腕を引かれてしまった。
頼くんの足はずんずんと進んでゆく。
「スポブラ脱いで」
「………なに言ってんの!?」
連れて来られた男子トイレ。
他の生徒たちの気配が無いことを確認すると、そんな爆弾発言をいきなり投下してきた。