キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
彼は協力してくれているんだ。
わたしがこれからも男の子として生きられるように。
「いっ、いくぞっ」
「ん。おいで」
「っ、うわああーーーっ!!」
叫びながら腕のなか、突進。
ぐらりと傾くこともなく、ぽすっと頼くんの胸が受け止めてくれる。
「どっ、どうっ!?大丈夫そう!?大丈夫だよね!?」
「…んー、もうちょっとかな」
「うぎゃっ…!」
「なんで悲鳴」
背中に回った手。
優しくも力を加えながら、引き寄せてきた。
「………」
普通に抱きしめ合っちゃってるんだけど…、これ、あってるの…?
大丈夫…?
通りすがりの生徒が見たら大きな誤解を生んだりしない……?
「よ、頼くんっ、ちょっと苦しいって…!」
「…確かめてんだから我慢してくれる?」
声が甘くなったのは気のせい……?
“抱きついてる”ではなく、“抱きしめられてる”に変わっちゃった……ような。
「……よし。気合い入った」
「へ?」
「行こう。焼肉屋の杏仁豆腐が食べたいんだよね俺」
「あっ、うんっ!」