キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「頼くん…!男にこんなことしてどうするんだよっ」
「だからできるんだろ?女の子が相手だったら、俺はもっと優しくしてる」
こんなに、優しいけど。
すっごい優しいよ頼くん。
それ以上優しくって、すごいなあ。
「そんな女の子みたいな顔しちゃって」
「してないっ、キリッとしてる…!」
「キリッと?…見せて」
サラリと、頼くんの前髪がおでこに触れた。
そのくすぐったさすら彼の優しさを表しているようで、ぐっと、もっと我慢が必要になる。
必死にキリッと眉を寄せて真剣な顔を作るけれど、パチリと至近距離で合わさる頼くんの眼差しが秒で崩してくる。
やだ………もう。
「っ…、男相手に距離感おかしーよ…!」
「だーから、男だからこそだろって。女の子にはそりゃあ一定の距離感くらいは保つよ俺も」
男扱いが中途半端すぎる。
女の子を見つめる目をしておいて、言葉ではそんなふうに言ってくるんだから。
わたしの身体を支える手だって、とんとん優しすぎるリズムで叩いてくれてるし。
でもそれは、子供に対してするものだとも感じられない。