キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
頼くんのため息、わりと大きめ。
最近になってハッキリしてきた学力というもの。
なんとわたしとムツミはどんぐりの背比べのように、クラス内でも最下位を争っていた。
そしてわたしたちが大の苦手としているものが数学だ。
「……なにしてるの」
「あ、おはよ琥珀」
「…テスト勉強?」
「教える側だけどね俺は」
今年の夏は去年よりも早めの猛暑日になりそうだと、ニュースでも言っていた。
制服はブレザーからワイシャツ腕捲りや半袖に衣替えされ、夏日突入と言っても過言ではなく。
だというのに常に涼やかな顔でやってくる琥珀くんは、もはや存在が滝なんじゃないかと。
「おはよう琥珀くん!」
「…おはよう」
「見て見て~、俺の一昨日の小テストの結果!」
「……ペケ多いね」
「あはっ、マルを数えたほうが早いってのもすごいだろ!」
過ごすしかない。
毎日はどうしたって訪れてしまうんだから、過ぎていく1日1日を乗り越えていくしかない。