キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「なあカンナー、お前ほんとにプール入れねえのかよ」
「お、おう!わりーね!俺ねっ、小学生のとき溺れかけてからドクターストップかかってんの!」
来るな来るな来るなぁぁぁぁ……っ!
もうやだ…、
水泳の授業のたびに上半身裸の男たちが端で見学しているわたしのもとにやってくる。
「ビートバンあっから入ろうぜー。くそ気持ちいいぞ」
「いいって…!俺ほんとプール恐怖症だからっ」
「とか言って、食わず嫌いってだけじゃねえの?」
いろんな理由から。
それはもういろんな理由から、わたしは服だけは脱ぐことができない。
だというのにクラスメイトたちはからかってくるし、水に濡れたイケメンとはこの事なのかと教えてくれる。
「よしっ!では作戦A、決行せよ!!」
「「ラジャー!!」」
「え…?あっ、わあ…!?なにするんだよお前ら……っ!!」
わたしの身体、持ち上げられる。
「かっっる」と言って驚いている男ひとりは、そのままプール脇へと向かってゆく。