キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─




「わ、悪かった…、さすがに度が過ぎてた。
…悪い、許せカンナ」


「……っ、…いーよ!女っぽいってよく言われるしっ、でも俺は無数の女好きって前の学校では有名だったんだっ」



ちゃんと返事できてた…?
違和感ないように答えられた…?

不安だ。

頭からつま先まで、ぜんぶぜんぶが不安。



「俺ちょっとドライヤーだけパパッとしてくるから」



乱れつつあったわたしの服を自然と戻しながら、頼くんはそっと起こしてくれる。

「すぐ戻るから待ってて」と、わたしだけに聞こえる音量が安心を作った。



「琥珀、それまで見張っといて」


「…わかった」



震えてる…、どうしよう。

ここまで全身が小刻みに震えるなんてこと……初めてだ。


ぎゅっとこぶしを握ったとしても目で分かるくらい震えていた。



「郡さん。寝る場所…僕と変わる?」


「……へ、へーきだよ!ちょっとびっくりしただけでっ、こんなでも俺は男だからっ」


「…そう」



口癖になっていた。
俺は男だから、俺は男だからって。

口癖になったから、たとえ意識が逆方向を向いていたとしても言葉になってくれる。



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