キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
でもね、逆効果だとも思う。
わたしはかなりナメられちゃってるんだと、さっき分かった。
なよっとしすぎ。
完全に男らしさが足りてないんだ。
「頼くんがこんなことするから……みんな俺を怪しむのっ」
「あ、俺のせい?」
「……ちがう、けど」
「いーよ俺のせいで」
コソコソと内緒話。
わたしの身体をすっぽりと隠してしまった彼は、もっと隠すように薄い布団を上からかけてきた。
「おまえさ、俺のことは危ないとは思わないの?」
「え…?」
「俺も一応は男なんだけど」
たぶん、わたしがすっごい落ち着いているから。
頼くんの腕のなか、このまま眠れそうだと思ったくらいに。
だからか逆に彼から問いかけられてしまった。
「うん。頼くんはそーいうのしないから」
「…なんで言いきっちゃうんだよ」
「だって…いま俺がここまで過ごせてるの、頼くんが居たからだもん」
転校初日のこと。
あれはかなり危ない場面だったかもしれないけど、今日わかった。
もし本気で頼くんがあのときわたしに何かやましい気持ちを抱いていたなら、わたしはここに居ない。