キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「ねえ……カンナ。あたしすごい心配になってきたんだけど…」
「へ?なにが?」
手帳をしまったなーちん、真面目な顔に変わる。
ただ誰にも邪魔されない場所に来たかっただけのように、彼女はマイクを持つより先にわたしに聞きたいことが100個はあるらしいのだ。
「こんなイケメンとつるんじゃってさー、女の子との写真ひとつもないことがずっと気になってたのよ…」
ああ、そっか。
うーんどうしよう…。
こういう場合の誤魔化し方って、心配をかけない言葉って、なにを言ったらいいかなあ。
「いじめられたりしてないよね!?靴隠されたり悪口言われたりっ、ないよね…!?」
「ないよっ!俺みんなと仲良くしてる…!」
ピタリ。
なーちんの表情から身体まで、動きは皆無。
わたし何か変なこと言った…?と首を傾げていると、眉を潜めた親友。
「……俺ってなによ、カンナ」
「あっっ!!いやっ、最近のドラマの影響で…!」
「もー、影響されやすいのも相変わらずなんだから」