キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
よ、よかった……。
こんなところでとんだ大失態を冒(おか)してしまうところでした…。
久しぶりだからか懐かしくて、でもやっぱり変わっていないから気が緩んじゃってた。
ダメダメ引き締めないとっ。
ほら、お得意のキリッと!!
「また会おうねカンナ!あたしの親友はやっぱりカンナよ~!」
「わたしもっ!なーちんだいすきーっ」
手をぶんぶんと大きく振る別れ道さえ、懐かしい。
ここのお店よく行ったなあ…とか。
この道好きだったなあ…とか。
女の子で歩く自分もちょっとだけ違和感で、ゆっくり味わいながら帰った。
「ん…?頼くんだ」
その夜、18時すぎ。
家族みんなで早めの夕飯を食べているときだった。
頼くんからの着信に、いつもどおり応答。
『花火するよ、カンナ』
「花火?するするっ!いつ!」
『今日。これから』
「……えっ」