キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
わたしの返事を聞くより前に、スッとスマートフォンが取られてしまった。
「はじめまして~、カンナの母です」と笑みを浮かべたお母さんと、その先で彼はどんな反応をしているんだろう。
「うん、うん。わかったわ。じゃあ20時までね。…ありがとう御堂くん」
そのままピッと切られた電話。
お母さんは車の鍵を手にして、わたしに笑いかけた。
「お母さん…?」
「あら?お友達と花火行かないの~?遅れちゃうわよカンナ」
「っ!行く!!ありがとお母さんっ」
待ち合わせ場所は中間地点の公園、時間は20時まで、お母さんの送り迎え付き。
最高なプランを頼くんと立ててくれたらしく、わたしよりもお母さんが嬉しそうだった。
それは、もしかすると電話で。
わたしの本当の姿を知っていると、彼が母に話したのかもしれない。
「あ!!ワンピースだった…!!」
「残念ね~。もう戻れないわー」
「ぎゃーーー!!びっくりするよ頼くんっ」
「ふふふ」