キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
わたしの隣にいた男が退場となり、よっこらせよっこらせと、別の男が机を運んでくる。
どういうつもりなのか、斎賀先生は「な?」と言いたげな眼差しをわたしに送ってきた。
そっち系もいるんだよ───と。
いや、先生。
なんかね、ちょっとちがう気がする。
「今日からよろしくね、カンナ」
「………」
視力が落ちてきたって、あれぜったい嘘じゃん…。
前なんか「視力落ちる人間の神経がわからない」とまで言っていた男なのだ全世界のメガネさん&コンタクトさんに謝りたおせ。
嘘つかない、って少し前におっしゃってた気がしますけど。
……このひと普通についちゃってる…。
「はあ!?くじ引きの意味ねーじゃん!!」
と、ムツミの正論に授業終了のチャイムが重なった。
席が遠くなると、話す機会もぐっと減る。
それから琥珀くんは朝のホームルームに着席していることは滅多になくなり、クラスメイトたちは逆に当たり前の日々が戻ってきたと言っていた。
「カンナー、これ掲示板に貼っといてくれ」
「えっ、なんで俺!」
「そこにお前がいたから」
「……なんだそれっ!!」