キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─




我が道をゆく担任に渡されたプリント。
画ビョウを手にして教室内の掲示板の前。

空いているスペースは少し高く、ギリギリ背伸びで届くか届かないかだった。



「あ、ダメだ…、椅子持ってこよ…」



最初からそうすればよかった。

意地を張らなくていい場所で張ってしまいたくなるのがわたしなのかもしれない。


掲示板の前、置いた椅子。
足をかけて脚立代わりに。


きちんと上履きを脱いで乗る生徒はわたしくらいだろう。



「あっ…」



ぐらり。

やっとプリントを貼れたと思えば、まさかのアクシデント。



「わあ…!」



ゆらっと崩した体勢、重力に押されるまま、背中から倒れそうになった身体は。



「…あっぶないよ」


「っ…!」



わたしの隣を無理やりにも手にした男に救われた。


支えられた背中、そのままぐっと前に戻される。

かと思えば、わたしの両脇に腕を挟んでひょいっと持ち上げた。



「わっ、あらー…」


「…ふっ、あらー。これでよしっと」



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