キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「はじめまして。頼と琥珀とは幼なじみの志音です」
「あ、…どうも。クラスメイトの、奴、です」
「ふふ、奴?」
「カンナ、って言うんだ」
代わりに頼くんが答えてくれる。
その人は、いつかの日。
琥珀くんがポケットから落とした広告に載っていた女性だった。
髪…、そう、髪の毛がね、すごく綺麗で。
キラキラ輝く長いブロンド色。
黒で短いわたしなんかと正反対だったから、よく覚えていた。
「よろしくね、カンナくん」
「…よ、よろしく…お願いします」
「頼も琥珀も難しい性格してると思うけれど、ぜひ仲良くしてあげて?」
「……はい」
どうして頼くんを優先するんだろう。
彼はあんなにもあなたに会いたがっていて、あんなにも嬉しそうだったのに。
頼くんじゃなく、琥珀くんの名前を最初に呼んであげて欲しかった。
「あら…?頼、また背が伸びたんじゃない…?」
「そう?」
「そうよ…!あなたも琥珀も、昔なんか私より小さかったくせに!」
「まあ、俺ももう17だし。男だからね」