キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
ボディ部分のほとんどがネイビーカラー、中の一部だけブラック。
オシャレな色合いのひとつを持ってそばに立て掛けると、なぜかわたしの隣、床に座った。
そして、わたしに手が伸びてくる。
「っ…!」
膝のなか、すとんっと。
背中から優しくホールドするように抱きすくめられた。
そして彼はそばに立てていたギターを手にする。
「これね、ギターっていう弦楽器のひとつ。俺のはエレキ、鋭い音が鳴るからロック調に使われることが多いかな。
他にはアコースティックギターっていう、優しい音が出るギターだったりは聞いたことあるんじゃない?」
わたしを膝に乗せて、その上にギターを乗せて。
背中から伸びた左手がわたしの左手も取って、ネック部分を握らせてくる。
「コード進行って言って、曲を作ったり演奏するときは必ずコードってのがあるんだ。
ギターはね、そのコードによって弦を押さえて弾くんだよ」
わたしの右肩あたりにある彼の顔。
今まででいちばん優しい声が、初心者にも分かりやすく説明してくれた。